2008-06-28
# 第六大陸〈1〉 (ハヤカワ文庫JA) (文庫)
初の小川一水。今まで手を出していなかったのが非常に悔しいと思った。娯楽小説読みには最高のエンターテイメントですよ。これは。
基本的には、近未来SFで、民間企業が月面に有人施設を建設しようというお話。ここで有人施設と書いたが、有人基地ではないことに注意。これは、けっこう物語のポイントになっている。有人月開発の主体が国家や国際組織ではなく、民間企業というところが、柔軟さを醸しだせるのだろうね。
物語にはヒロイン(?)として天才少女が絡んでくる。この少女が、2巻では二十歳過ぎるのですが、とっても萌えるんだな。主人公の青年との恋愛もあったりして。男性たるもの、これを読んで萌えなくてどうする、という感じだ。で、この少女の心の奥底が、なぜ月に有人施設を造るのか、というキーになっている。心理的動機も興味深い。
近未来SFということで、科学用語、とくに建築用語がじゃんじゃん出てくる。建設用語が登場するのは月に建物を建てるから当然だけれど、建設用語がリアルさを増していると思う。適当なSFなら月着陸まで凝って、後はお茶を濁すはずだ。もちろん宇宙開発の知識を踏まえていて、ときおりアポロやミールのエピソードが出てきたりする。宇宙開発好きなら、あー、これ知ってる!と頷いてしまう。マニアの心をくすぐっちゃうなぁ。かなり丁寧に取材していると思う。とにかく、素晴しいハードSFだね。
ところで、本書は1、2巻なのだが、なぜ上下巻ではないのだろう。かなり不思議。3巻を期待してしまうではないか(笑)。実際、もうちょっと読んでいたかったな。
